杉原賢彦 (映画評論)
共催:TMF日仏メディア交流協会
協賛:アイ・ヴィー・シー/エモア/ザジ・フィルムズ
第5回恵比寿映像祭地域連携プログラム参加作品
フランス最大の映画監督であるジャン・ルノワールは、エッセー、小説の分野において第一級の腕前を持っていた。その後、ルノワールを師と仰いだヌーヴェル・ヴァーグたちもまた、映画のなかにまるでエッセーや日記を書くかのような要素を混ぜ込んでいった。映画とエクリチュール(書くこと)の関係を、ルノワールの代表作『フレンチ・カンカン』をとっかかりとして見てゆく。
19世紀末のパリ。興行師として名を成していたダングラールは、モンマルトルの酒場で踊る小娘ニニにふと目を留めた。ニニが楽しそうに踊る“カンカン”に触発されたダングラールは、その酒場ごと買い取り、新たな見世物と娯楽の場とすべく改装に着手。やがて、“ムーラン・ルージュ”と名づけられたその場所は、名物のフレンチ・カンカンによって一世を風靡することになる──。
第二次大戦に際してフランスを離れていたジャン・ルノワールが、15年ぶりに故国で撮った、目にも艶やかな一大映像絵巻。ひらひらとスクリーンに乱舞する踊り子たちの色とりどりのスカートの誘惑にも増して、人生をどこまでも肯定するような鮮やかな躍動感と幸福感に満ちた作品をお楽しみあれ。
ところで、ヌーヴェル・ヴァーグたちが敬愛し、師と仰いだジャン・ルノワールは、エッセー、小説の分野においても第一級の腕前をもっていた。やがてヌーヴェル・ヴァーグたちは、映画のなかに、まるでエッセーや日記を書くかのような要素を混ぜこんでゆくことになるのだが、そこにもルノワールの影響があったのだろうか──? 映画とエクリチュール(書くこと)との関係をも片隅におきながら、ルノワールとヌーヴェル・ヴァーグたちにも思いを馳せてみたい。
プ ロ グ ラ ム
18:00 開 会
18:05 - 19:50 DVD上映 『フレンチ・カンカン』(French Cancan)
1954 / France / 102min. / couleurs / 日本語字幕付
監督・脚本:ジャン・ルノワール/撮影:ミシェル・ケルベ
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス/美術:マックス・ドゥーイ/衣装:ロジーヌ・ドラマール
出演:ジャン・ギャバン、フランソワーズ・アルヌール、マリア・フェリクス、ドラ・ドール
19:55 - 20:25 講 演(杉原賢彦)+ Q & A(会場より)
20:30 - 21:00 懇親会