【講師】小森陽一(東京大学名誉教授)
【司会】伊達聖伸(東京大学)
加藤周一に編集者として長年伴走した鷲巣力は、加藤周一の全活動は「雑種文化論」と「戦争と知識人」の2つが持つ主題に収斂されると指摘しています。それを体現する最大の主著が『日本文学史序説』だとすれば、活動面で最終的に行き着いたのが「九条の会」だったと考えられます。また、亡くなる数ヶ月前に病をおしてNHKのインタビューで語ったのが1968年についてでした。
幼少期をチェコスロヴァキアで過ごした小森陽一氏は、15歳になった1968年、ソ連によるチェコスロヴァキアへの軍事侵攻の報に接して精神的危機に見舞われたとき、加藤周一の「言葉と戦車」を読んだことが立ち直るきっかけになったと言います。小森氏は、「九条の会」の構想段階から加藤の近くにいた人物でもあります。
今年は2004年の「九条の会」結成から20年に当たります。呼びかけ人9名のうち、すでに8名が鬼籍に入りました。ロシアによるウクライナ侵攻から2年半以上が経ち、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区侵攻からちょうど1年になります。2025年に戦後80年を控え、東アジア情勢の緊迫も語られています。
このような状況を踏まえて、今年の「加藤周一記念講演会」は、加藤周一のテクストに若い頃から親しみ、加藤晩年の活動を近くで支え、「九条の会」事務局長を務めてきた小森陽一氏をお招きしたいと思います。ご自身の経験も交えながら、加藤周一の思想と行動のアクチュアリティについて語っていただきます。
講師プロフィール
小森陽一
1953年、東京都生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。東京大学名誉教授、和光大学理事長。専門は日本近代文学。著書に『漱石を読みなおす』、『村上春樹論』、『コモリくん、日本語に出会う』など。また、成田龍一氏とともに編んだ、加藤周一『言葉と戦車を見すえて――加藤周一が考えつづけてきたこと』(ちくま学芸文庫、2009年)がある。
司会者プロフィール
伊達聖伸
1975年、仙台市生まれ。東京大学教授。専門は宗教学。著書に『ライシテから読む現代フランス』など。
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