ごあいさつ

 

日仏会館は、日仏文化・学術の交流及び振興を図ることを目的として1924年に渋沢栄一及びポール・クローデルによって創立されました。そして今に至るまで、日仏両国の文化・学術研究の交流促進と研究成果の普及、文化振興などに努めてまいりました。現在、当会館では日仏両国の研究交流において両国の学者交流事業を始め、日仏共同研究のための学術研究助成、日仏関連学会の連絡協議会など行っております。また、研究成果の普及では、当会館内に所在する日仏会館・フランス国立日本研究所と共催で日仏春秋講座を開設し、読売新聞社と共催で日仏相手国の文化に関してなされたすぐれた研究成果に対し渋沢・クローデル賞を贈呈しているところでございます。

このたび、福井憲彦前理事長の任期満了ご退任を受けて歴史ある日仏会館の理事長に選任されましたことは大変光栄であり、福井前理事長が当会館の事業を一層幅広いものとし、基盤を固めたことを引き継ぎますことは身の引き締まる思いです。特に、日仏会館は4年後に設立100周年を迎えます。設立以来の日仏両国の文化研究交流の深まりと今後に向けての一層の協力関係を踏まえますと当会館の果たす役割は多く、大きな区切りに向けて進んでいく所存です。

今年は、新型コロナウイルスの影響で、感染拡大防止の観点から外出自粛が強く求められ、ソーシャル・ディスタンスが励行されたりしております。当会館におきましても、ホールや会館内外でのセミナー・催し物を中止や延期するなど事業の十全の継続が難しくなっておりますが、他方でウェブでのセミナーへの認知度が高まるなど新たな動きも生じております。日仏両国のいままでの文化・学術交流の取り組みと広がりを今後一層発展させるためには、当会館としてもこのような新たな動きを取り込んで強化し、新たな動きにも対応した事業の展開をしてまいります。

今回のパンデミックを踏まえて、フランスも主導する形でEUは欧州グリーン・ディール構想を発表し、デジタル・トランスフォーメーションとグリーン経済の実現に向けた動きを強めております。第4次産業革命の進展も含めて社会がさらに大きく変化する方向であり、当会館としても日仏両国の研究交流を深め、さらなる文化振興につなげてまいります。今後とも幅広い事業を展開してまいりますので、皆様方におかれましてもぜひ積極的なご参加とご協力をよろしくお願い申し上げます。

 

 

2020年6月21日

 

公益財団法人日仏会館
理事長 中島厚志