普仏戦争、パリ・コミューンをまたぐ約5年の間に、目まぐるしく脱皮しながら詩の世界を駆け抜けたアルチュール・ランボー(1854‐1891)。時代の文脈に照らしてその生涯と作品を追いながら、つねに自己超越の過程にある人物とその想像世界に迫ります。また、彼の「文学放棄」をその延長上で捉えなおし、無名の少年が天才詩人として聖別されるにいたる受容のプロセスをたどります。(対訳版プリントを配布)
第1回(2月12日)戦時下の少年詩人――前期韻文詩(1870-1871)
第2回(2月19日)憧れのパリ/幻滅のパリ――後期韻文詩(1872)
第3回(2月26日)文学との訣別?――『地獄の一季節』(1873)と『イリュミナシオン』(1873-1875)
第4回(3月5日)伝説と聖別――ヴェルレーヌ「呪われた詩人たち」からル・クレジオ『隔離の島』まで
【講師紹介】
中地義和(なかじ よしかず) 1952年、和歌山県生まれ、フランス文学者、東京大学名誉教授、日仏会館理事
主著
『ランボー 精霊と道化のあいだ』青土社 1996
『ランボー自画像の詩学』岩波書店〈岩波セミナーブックス〉 2005
翻訳
ジョルジュ・バタイユ『エロティシズムの歴史』湯浅博雄共訳 哲学書房 1987/ちくま学芸文庫 2011
J・M・G・ル・クレジオ『ロドリゲス島への旅』朝日出版社 1988
ル・クレジオ『黄金探索者』新潮社 1993/河出書房新社 2009
ル・クレジオ『もうひとつの場所』新潮社 1996
アントワーヌ・コンパニョン『近代芸術の五つのパラドックス』水声社 1999
ロラン・バルト『ロマネスクの誘惑』みすず書房 2006
『ランボー全集』平井啓之・湯浅博雄・川那部保明共訳 青土社 2006(全1巻)
アントワーヌ・コンパニョン『文学をめぐる理論と常識』吉川一義共訳 岩波書店 2007
エリック・マルティ/アントワーヌ・コンパニョン/フィリップ・ロジェ『ロラン・バルトの遺産』石川美子共訳 みすず書房 2008
『ル・クレジオ、映画を語る』河出書房新社 2012
ル・クレジオ『隔離の島』筑摩書房 2013
ル・クレジオ『嵐』作品社 2015
アントワーヌ・コンパニョン『書簡の時代-ロラン・バルト晩年の肖像』みすず書房 2016
ル・クレジオ 『心は燃える』鈴木雅生共訳. 作品社 2017
画像 Rimbaud par Carjat (1871). Archives Claudel © Indivision Paul Claudel.
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